FX会社が倒産したら利益も預けた資金もなくなる?

投資経験のない人からすれば、大切な資産の一部を銀行から証券会社や海外のFX会社の預けるですから、不安に感じたり気負ってしまう人も多くいます。

そんななか、FX経験のない人に多い疑問の1つに「FX業者が破綻したらどなるのか?」というものがあります。取引をする限り不安を抱えることにもなりますので、今回の記事ではこの疑問について解決していきたいと思います。

 

また、FXだけに関わらず、金融商品の制度についても簡易的に確認していきたいと思います。

 

銀行預金なら安全?日本人に多い貯金を銀行だけでする人の不安

世界的にみても日本は貯金好きとして知られています。

恐らくこの記事を見ている人も、お金の貯金は銀行預金だけという人は非常に多いはずです。日本では昔から一番安全な資産の運用先は銀行預金であり、株式や外貨などの投資は危険として考えられてきていました。

 

ただ、2005年のペイオフ解禁以降はそういった認識がなくなりつつあります。ペイオフとは、銀行が経営破綻した場合、預金額が1000万円まで全額保証するという制度です。

 

つまり、1000万円以上持っている人の場合、保証されなくなるということです。ただ、1000万円をそれぞれ違う銀行口座に預けていれば保証はされるので安心です。

 

運悪く預けていた複数の銀行口座が破綻してしまったとしても、確実の自身の手元に戻ってくるということです。

 

2005年前後のペイオフ解禁の際には、非常に大きな話題になりました。というのも、分割して預金するのも間に合わないと焦った人が多かったためです。しかし、実際にはそんなことにはなりませんでした。

日本人は多くの人が預金は100%安全と信じているため、その前提が崩れた2005年は騒然となりましたが、銀行の経営は年々厳しくなっており、店舗の縮小やATMの減少など、単独で生き残るのは難しいのが現状です。

 

そのため、経営統合が相次いていますが、銀行預金ではいくらお金を預けていても利息はほぼ発生しません。お金を貯めるだけではなく、増やすことを考えるのであれば、積極的に何かで資産運用をする必要がありますが、その中でも候補として上がることが多いのがFXです。

 

FX業者が経営破綻したらどうなる?

そんなFXですが、FXの業者が倒産した場合はどうなるのでしょうか。

これについては、信託保全というものを知る必要があります。

これは義務化されるようになりましたが、義務化される前と義務化されたあとの様子を説明したいと思います。

 

信託保全義務化前

2007年、エフエックス札幌が、金融商品取引法に違反して巨額損失を発生させたとして、業務停止命令を受けて破産しました。

最終的な債権者配当は、たったの5%だったそうです。

当時の、金融庁登録業者に対する緊急調査では、カバー取引の際に自社資産と顧客資産を同一口座で管理していたFX業者の割合は、41%もあったそうです。

会社資産と顧客資産が混ざって管理されているということは、自分の資産が、会社の営業のために支出される可能性があるということです。

そして、FX業者による使い込みが行き過ぎると、資金繰りに行き詰って経営破綻してしまいます。

これが現実になると、自分の預入資産はまともに戻ってこないことになります。

 

今ではありえない事態ですが、実際に横領などが経営破綻の原因になった例もありますので、完全な透明性は銀行も含めて期待できないでしょう。

信託保全義務化

2010年からFXでは、顧客の資産をFX業者の資産と分別した上で、信託銀行に保管(信託保全)することが義務付けられました。

証拠金取引の黎明期には、信託保全義務化がまだ確立されていませんでしたので、レフコジャパンやエフエックス札幌のケースのように、投資家の資産が保護されないケースがありました。

 

しかし、現在では、顧客資産は『信託保全』によって、安全度が格段に高まったと言えるでしょう。

 

FXで導入されている信託保全の仕組み

信託保全を難しく考えてしまいそうですが、簡単に仕組みを見ていくと以下の画像のような関係に落ち着きます。

信託保全のしくみ図

簡潔に解説すると、私たち顧客がFX業者に預けた証拠金は信託会社で保管され、FX業者が経営破綻しても資産は確実に私たちに戻ってくるような形になります。つまり、顧客から預かった資産を業者が管理するのではなく、別のところで管理しているということです。

これは、信託銀行が経営破綻しても同様になります。

 

銀行に預けるよりもFX業者のほうが安全

信託保全の目的、投資家の資産(証拠金)の安全を保証することです。

FX業者による信託保全の義務化によって、投資家の資産は信託銀行に預けられるようになり、FX業者の固有資産とは区分して、信託財産として管理されるようなったことで投資家は安心して取引することができるようになっています。

 

信託銀行に預けた資産(預入証拠金)は、FX業者が倒産したとしても、債権者が強制執行や仮差押等を行うことはできません。

つまり、預入証拠金は、顧客の元に全額戻るということです。

 

なお、この信託保全ですが、金額に上限はなく仮にFX業者に1億円入金していたとしても返ってきます。

 

銀行の場合、1,000万円まで全額戻りますが、それ以上の額についてはいくら戻ってくるか分かりません。そう考えれば、銀行口座よりもFX業者に預けておくほうが返ってくる額は多く安心ということです。

資産をいかに安全に保管するか、という点において、FX業者は銀行よりも安全度が格段に高いといえます。

 

金融商品の比較とFXの安全度

最後に、当記事でご案内した以外の金融商品(株式、債権)についても簡単に確認したいと思います。

種別 補償制度
銀行預金
(普通預金)
預金1,000万円とその利息については、預金者に返済されます。それ以上の額については戻らないかもしれません。
外貨預金 いくら戻るか、全く不明。0円の可能性もあり得ます。
FX 何億円預けようとも、仮に1兆円預けても、確実に顧客に全額が戻ります。
株式 自分が取引している証券会社が経営破たんする場合、株式の価値に変化はありません。ただし、その株式の発行会社が倒産すれば、株式の価値はゼロになります。
債券 債券発行会社が経営破たんすれば、投資した資金は戻ってこないかもしれません。

比較してみると、FXの安全度は群を抜いて高いということが分かります。

日々のトレードで損したお金は、当然ながら返ってきませんが、FX業者の経営状態によってメンタルは左右されることになるのは取引以前の問題です。

今回紹介したことを既に知っているという人も多いかもしれませんが、経営状態に左右されずに資産を預けておけるのは、安心して取引するためには必要不可欠です。ぜひ覚えておきましょう。

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