為替相場の中心ともいえるアメリカ(米国)の経済事情
為替相場では、日頃から世界中の通貨が取引されています。
それは個人投資家の取引から、貿易や経済状況によって価格が刻まれていきますが、なんと言っても世界の中心であるアメリカのUSD(ドル)は、最も取引量が多い通貨でもあります。
国際ビジネスや文化ビジネス、スポーツやエンターテイメントなど、挙げればキリがありません。そのため、アメリカが世界中に与える影響は非常に大きく、為替相場でも同じように米ドルが頻繁に取引されています。
そこで、今回はアメリカについて概観してみたいと思います。
「FXに何が関係するのか?」と思うかもしれませんが、私達が住んでいる日本はもちろん、取引するアメリカの経済の流れなどは最低限知っておくと役立つはずです。ぜひ世界で最も取引される通貨の国事情を理解しておきましょう。
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世界の中心であるアメリカ合衆国
アメリカは非常に国土が広くなっていますが、北アメリカ大陸が主要部分として国土とされています。アラスカだけは飛び地になっているのですが、それはロシアから購入した土地だからです。
現代社会、日本で考えると国土を売買するというのは考えられないかもしれませんが、これはロシアがクレミア戦争(1853年~1856年)に敗れたり、近代化コストが高くついたりして、財政難に陥っていた時期があり、アメリカの売却して資金を得たという歴史があります。
当然購入した米国内では大きな批判が起きましたが、米ソ連戦の時代にアラスカに地下資源が多くあることが分かり、重要度が飛躍的に高まったことが批判を落ち着かせる要因となりました。
下は、北極を中心とした地図です(ウィキペディアから引用)。茶色が米国、緑がロシアになります。
アラスカ部分が当時のソ連領だったとしたら、地理的に見てソ連が有利になっていたかもしれません。
結果として、米国がアラスカを買ったのは大正解だったということになります。
米国の膨大な予算
日本にとって友好国であるアメリカは、当然日本経済にも多く関係してきます。そして、その国の通貨である米ドルはFXでも馴染みがあり、様々な通貨にも影響を与えます。
ただ、米国というのはテレビや雑誌で文化にふれる機会が合っても、直接訪れるという人も多くはないのでイメージしか湧かないという人も多いはずです。アメリカはスポーツが盛んな国であり、軍事大国でもあります。また、映画やインターネットでも世界的にトップの企業が多くあるので、GoogleやTwitterといった日本でも馴染み深いツールを知っている人は多いはずです。
そんな米国の予算状況を見てみたいと思います。この予算を見ることで、米国が何を重視してどんな問題を抱えているのかが分かるようになります。
そこで、2021会計年度(2020年10月~2021年9月)の予算教書を確認してみたいと思います。
予算教書とは、大統領が議会に提出する予算案のことになります。
- 収入見込:3兆8,600億ドル
- 支出見込:4兆8,740億ドル
- 財政収支:およそ1兆ドルの赤字
意外かもしれませんが、米国も財政赤字に悩まされている国の一つです。
予算教書を見てみると2020年度も1兆ドル前後の赤字。
赤字を永遠に増やし続けると、どこかで大きな問題が起こるのでは?と感じるかもしれませんが、赤字の伸び率がGDP伸び率よりも小さければ、問題になりません。
GDPと借金から見る米国
GDPと借金のことをもう少し詳しく説明したいと思います。
たお手羽、資産が1000万円あって借金も1000万円では、残高はゼロになります。この状態では資産はないに等しく、借金の額は資産の100%となります。
しかし、その後資産が更に1000万円増えた場合にはどうでしょうか。
借金がさらに200万円増えたとしても、資産が大幅に増えているので問題ないのが分かるはずです。資産1000万円で借金1000万円では苦労しますが、資産2000万円で借金が1200万円であれば、資産に対する借金は60%になります。
これは一つの例になりますが、このように資産をGDPに置き換えてみると、GDPの伸び率が借金の伸び率よりも大きければ、借金の額が大きくても問題がないということになります。
そのため、今後も米国が財政危機を迎えることなく推移できるかは、借金の増加をどのように抑えるのか、如何にGDPを大きくするかが重要になります。
戦争大国ともいわれる軍事予算の大きさ
次に、米国の予算の内訳を確認してみたいと思います。
義務的経費が圧倒的ですが、これは主に社会保障費になります。
減らそうと思ってもなかなか減らせるものではありません。日本も社会保障費の割合がとても高いですが、この伸びを抑えることが重要です。
その他、注目されるのは国防予算の大きさで、予算の15.4%を占めており、7,530億ドルという巨大さです。非国防予算の総額よりも大きいです。米国では、軍事関係の会社も非常に多くあり、軍事費用を抑えようとするとその会社に勤めている人も多くいるため、簡単に軍事費用を抑えることは出来ない背景もあります。
そして、教育・文化・研究開発・インフラ整備等・現在の米国民及び将来の米国民の生活を豊かにするための予算全額よりも、軍事予算のほうが大きいということが分かります。
日本では、軍事費用や教育、研究開発よりも高齢者への手当が厚くなっていることを考えると、ここでも違いが分かると思います。
また、この数字を見れば、米国が日本に国防負担の増額を求めているのは自然だと分かります。素人目に見ても、米国の国防予算は巨大です。
これを減らそうと思えば、海外でのコストについては外国(日本など)に負担してもらおう!という発想になるのは当然ですが、沖縄の普天間基地の問題もあり、日本からの反発は大きくなっています。
また、安倍首相のときには米国の開発途中の戦闘機を購入するなど、日本のアメリカへ投資する金額は年々大きくなっています。
米国の貿易相手
次に、米国の貿易相手を確認していきたいと思います。
日本にとって最重要な国は、経済面でも政治面でも米国なのはいうまでもありません。しかし、米国にとってはどうでしょうか。
貿易状況を概観することで、これは予想することができます。
輸出
2017年の輸出を見てみると、カナダ、メキシコが圧倒的に大きくなっており、この理由は同じ大陸に属していて陸続きなためです。
そして、次に中国、日本、イギリスと続きます。
米国の輸入状況
米国の輸入状況は、カナダとメキシコで1位、2位を占めているかと思いきや、中国が圧倒的な1位です。4位以下に日本、ドイツと続きます。
中国はいまや世界的に大きく経済でリードしている国の1つですが、こうして見ると米国から見て日本は圧倒的に重要な国というわけではないということも分かります。
ヨーロッパ、北米、南米、アジアなど、広い地域に大きな影響力を持っていますから、日本は、数多くある重要地域のうちの一つという認識ともいえます。
また、米中の貿易状況を数字で見ていきたいと思います。
- 輸出:2,822億ドル
- 輸入:5,054億ドル
- 赤字:2,232億ドル
米国は、中国に対して圧倒的に赤字です。その分、中国が儲かっている形です。これだけ差が大きいと、米国としては何とかしたい思い起こったのが米中摩擦の原因の一つです。
円グラフで分かります通り、対日赤字は、対中赤字と比べるとわずかな数字になります。
世界のGDPで米国が占める割合
世界のGDPでは、米国が圧倒的に大きいことが分かるように、FXでも米ドルを中心として活発に取引されています。
日本は米中に次いで第3位になっており、世界全体から見れば日本の国力は他国に比べて格段に大きくなっています。
まとめ
FXで取引することが多い米ドルですが、このように国自体の状況を見てみると、「米国は桁違いに大きい」ということが分かります。それは資金や人口など様々ですが、規模が大きく、FXでも未だに世界の中心であり続けています。
通貨の1つとして見ると簡単ですが、このように米国の状況や国の文化、ビジネスなどを含めて米ドルの価値は常に変化しています。FXの取引に大きく影響することもあるため、アメリカの全容を大まかに把握し、経済指標や要人発言など、より深く読み取れるようになりましょう。
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