テクニカル分析の起源「ダウ理論」で理解する6つの分析基本原則

テクニカル分析の起源、元祖となっている理論をご存知でしょうか。

FXを経験している人は知っている人もいるかもしれませんが、ダウ理論と呼ばれる投資の世界では知らない人はいないものです。

 

ダウ理論はFXの世界でも有名で、相場を分析するうえでは欠かせない理論の1つとなっています。そして、全てのテクニカル分析はこのダウ理論をベースに発展したということもあり、重要性は最も高いと認識してください。

 

この理論を知らないのは、数学でいう公式を使らずに計算しているようなもの。FXで利益を出すための公式ともいえるこの理論を無視してテクニカル分析をすることはできません。

今回の記事ではダウ理論の「6つの基本原則」を解説しながら、その中で重要なポイントや売買方法などを合わせて説明したいきたいと思います。

FXで勝つためにまずは最低限の理論を知り、相場の分析力向上に努めていきましょう。

 

ダウ理論の誕生起源

ダル理論とは、そもそもチャールズ・ダウ氏が米国で構築し、今では世界的に知名度を知られることになった体系的にチャート分析理論です。金融専門誌「ウォール・ストリート・ジャーナル」を創刊、1896年にはダウ・ジョーンズ工業株平均株価を開発している人物でもあります。

 

ダウ理論はFXだけではなく、株式取引においても株価を分析するに使えます。そして、ダウ理論は6つの理論をもとに相場変動を定義し、読み解くためのものです。

 

ダウ理論の6つの基本原則

ダウ理論には6つの基本原則があります。

1.価格は全ての事象を織り込む

2.トレンドは短期・中期・長期の3つに分類される

3.主要なトレンドは3段階から形成される

4.価格は相互に確認される必要がある

5.レンジは出来高でも確認される必要がある

6.トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する

この原則を見た人の中には、他の理論や法則といった分析方法で似た内容に触れた学んだことがある人もいるかもしれません。

 

ダウ理論はテクニカル分析の元祖だけあり、もともとはこの理論を応用して考えられた手法や売買が多くあるため、他のテクニカル分析を学ぶ過程で一部触れている人もいるはずです。ただ、6つの原則を見てみると知らない内容や理解出来ない内容もあるはずですので、ここからはダウ理論の6つの原則について1つ1つ解説していきたいと思います。

 

ダウ理論を理解することができれば、取引をすればいいのかといったFXで大切な局面を見つける機会が多くなるはずですが、ダウ理論はあくまでも理論なのでチャートがどのような状況になっているのか、上昇しやすい、あるいは下降しやすい相場といった現実の相場分析も忘れないようにしてください。

 

原則1「価格は全ての事象を織り込む」

最初の原則である「価格は全ての事象を織り込む」だけ聞くと、何を言っているかは分からないと思います。

しかし、簡単に言えば現在分かっている経済指標や金融政策の方向性、政治的なイベントや自然発生の災害(ハリケーンや噴火など)といった様々な経済要因は全て市場価格に反映されるという考え方になります。

 

この理論は、現在判断可能なファンダメンタルズの情報は価格に織り込まれて推移しており、ファンダメンタルズ分析で将来の価格を予測することはできないという事を意味しています。

つまり価格の値動きに注目して予測するテクニカル分析であれば、将来の価格を予測することも可能であるテクニカル分析の主張のベースとなる考え方です。

 

まだ起こっていない経済要因に関しては市場は反応しないため価格に反映されませんが、将来予想外な経済要因で価格に影響を及ぼした場合には急激な価格変動などでチャートが崩れるはずです。

こうなるとテクニカル分析は困難になりますが、そういった稀に起こるような自体はイレギュラーの場合には予測できないため割り切り、基本的には現在の為替価格が全ての要因を織り込んで形成された価格だと判断してテクニカル分析を行いましょう。

 

もちろん、予測できないような災害で価格が反応する場合を除き、経済指標の発表時刻など事前に価格が反応する時間を避ける取り組みはするようにしてください。

 

原則2「トレンドは短期・中期・長期の3つに分類される」

2つ目の原則は「トレンドは短期・中期・長期の3つに分類される」です。

時間足が異なれば上昇トレンドが下降トレンドだったと、違う展開を確認した人も経験者の中には多いはずですが、この時間足によって異なるトレンドの違いについて述べたものです。

 

為替レートは時間軸を基準に3つのトレンドで形成されます。

①短期トレンド:3週間未満

②中期トレンド:通常3週間~3ヶ月

③長期トレンド:通常1年~数年間

この理論から学べることは、トレンドは一方的に動いているのではなく、複数の短期トレンドから中期トレンドが形成され、その中期トレンドが組み合わされて長期トレンドが出来上がるといった流れで、3つのトレンドが影響し合うことでチャートが作り上がります。

上昇トレンドであったとしても、価格はまっすぐ上に上がることがないよう必ず一時的に下がるこような動きを見せます。

1年や数年という長期トレンドでは上昇かもしれませんが、短気や長期の数週間や数ヶ月の間に価格が下落してる時期があります。見方を変えればを相場環境が異なるように、トレード戦略を考える際にはあなたがどの時間時期(短期・中期・長期)で取引をメインに行うのか。

スキャルピング・デイトレード・スイングトレード、あるいはもっと長期で取引するのか?を明確に定めておく必要があります。

 

原則3「主要なトレンドは3つの段階から形成される」

3つめの「主要なトレンドは3つの段階から形成される」は、ダウ理論において買い投資家(ロング勢)、あるいは売り投資家(ショート勢)の売買によって上昇や下降といった値動きを見せる過程で、3つの段階を踏んでいるといわれています。

 

①第一段階の先行期「底値」

先行期である状況は、為替価格が底値にある状態で、一部の先行型の積極的な買い(底値による買い)を行い、価格が緩やかに上昇する時期です。

トレンド発生の初期になるこの第一段階は、下降トレンドでまだ下がる可能性を秘めているかもしれない状況で買いポジションを保有する形になるので、初心者のみならず上級者でも上手く入るのは難しくなっています。

この第一段階では、主に機関投資家や大口トレーダーの売買中心地点になります。

 

②第2段階の追従期「急伸」

第二段階の追従期は、経済改善やファンダメンタルズの買い要素が市場参加者に確認され、多数の投資家が追従するようにポジションを保有することで価格が急伸、つまり値動きがトレンド方向に加速する段階です。

この第二段階では、利益が安定するようになった上級者である個人投資家がポジションを保有する段階で、あなたFXで利益を出したいのであれば入るべき状況です。

 

③第三段階の利食い期「最終局面」

この第三段階は、トレンドの最終段階になります。

始めたばかりの初心者や素人といった一般的に投資家も参入しますが、この段階に入ると第一段階で売買していた機関投資家や大口投資家が利食いをします。この第三段階から売買し始めた初心者トレーダーは高値づかみをする形になり、そのあと一気に崩れるような形で急落することで損失が発生することになります。

 

いわゆる負けている投資家はこの第三段階を中心に売買を行っており、稀に利益が発生するのは第二段階の状況で意図せずに運良く入れた場合が多くなっています。

 

3つの段階から分かるように、あなたがFXで利益を出すためには第二段階の状況を如何に見つけられるかがポイントです。第一段階で入ることができればベストですが、それは初心者には不可能に近いので、テクニカル分析を用いて第二段階の追従期でエントリーできることを実力をつけるのが目標になります。

 

原則4「価格は相互に確認される必要がある」

4つめの原則「価格は相互に確認される必要がある」は、例えば為替と金利のレートでドルが上昇しているときには米金利も上昇していたり、各通貨ペアでドルが相対的な売られている場合にはドル円は下落、ユーロドルは上昇といった流れで相関関係が見られるといった場合になります。

 

つまり、ドルが買われるか売られるかで価格が推移する通貨ペアに関しては、その売買行動が発生したというのが他の通貨ペアにも影響を及ぼすという確認ができるはずです。

テクニカル分析で当てはまるのであれば、トレンド系指標とオシレーター系指標の売買サインが一致しているといった表現が理解されやすいかもしれません。しかし、逆にいえばシグナルが異なる場合には一時的な値動きだったり、転換点の可能性もあるので注意してください。

 

原則5「トレンドは出来高でも確認されなければいけない」

5つめの原則は「トレンドは出来高でも確認されなければいけない」というものです。

FXにおいて出来高は各証券会社の取引量によって変化するため、出来高が明示されている株式取引などに比べると需要度は下がります。

 

ある意味でダウ理論では唯一FXで不要な項目かもしれませんが、出来高を重要視してテクニカル分析に活用している人もいるのも事実です。

 

原則6「トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する」

6つの目の「トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する」は、ダウ理論の中でも最もFXでは欠かすことができない要素です。

なぜなら、トレンドの転換シグナルが発生しない限りはトレンドフォローを行う根拠になり、逆に逆張りといったトレンドに逆らう売買を行う場合にはトレンドが終了する明確な根拠が必要になるためです。

例えば上記の画像のように、上昇トレンドの定義は「高値と高値、安値と安値が切り上がっている」ことであり、下降トレンドの定義は「安値と安値、高値と高値が切り下がっている」というものになります。

ここまでは多くの人がご存知だと思います。

しかし、その後の価格の推移で画像のように動いた場合はどうでしょうか?

今回のケースは高値と高値、安値と安値を切り上げた上昇トレンド後の値動きになりますが、最高値が前回の高値を超えることができずに反転し、さらにその後に前回の安値よりも下に安値をつけました。

それぞれ高値、安値の切り下げが発生していることが分かり、上昇トレンドが崩れたのが分かります。

同時に高値と高値、安値と安値を切り下げたので下降トレンドとも定義することができます。

 

ここからさらに下がるのか、あるいはレンジ相場になるのかはさらなる分析が必要になりますが、トレンドが継続するのか終了するのかという価格帯や根拠の裏付けを見つけることができる原則の1つになっています。

 

ダウ理論は相場のルールであり、テクニカルの絶対条件

今回紹介したダウ理論の6つの原則は、テクニカル分析の元祖といわれるだけあって全ての分析方法の元になっているものです。逆にいえば、この理論に頼らない考え方は今の為替相場を分析する方法を全て無視するのに等しいということを意味しています。

 

それだけFXで値動きを分析するためには欠かせない理論であり、この理論を知らないのは公式を知らずに計算しているような状態です。

このダウ理論を知っているからこそ、根拠ある取引を行うことができるので、分析するときにはダウ理論を常に思い出して相場状況を冷静に把握していきましょう。

にほんブログ村 為替ブログ 為替投資情報へ
にほんブログ村

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。