FX初心者に人気な通貨「ユーロ(EUR)」の採用国とEU加盟国についての解説
欧州連合(EU)加盟国は、現在27ヶ国です。そのうち、ユーロを採用している国は19ヶ国と非常に多くなっていますが、外貨為替市場を舞台として取引するFXでは、同じお金が共通されている国は重要になってきます。
アメリカのNY市場を凌ぎ、ロンドン市場が世界で最も多いシュアを誇っていますが、今回はFXでも取引する投資家が多いユーロ圏を経済面から解説していきたいと思います。
参加19か国のユーロ圏
ユーロ圏を構成する国は全部で19あり、海外旅行する際には両替しなくても良く、旅行者への利便性は高いものになっています。旅行者の中には、少しでも有利な時に両替することを狙っている人もいるかもしれません。
ただ、その考えは一般的な個人に当てはまることだけではなく、企業も同じだということをFXでは理解しておく必要があります。ユーロ圏内であれば、輸出や輸入するときの為替差額を考えなくても良く、企業からみればとても有利になります。
日本国内だとピンと来ないかもしれませんが、欧州のニュースではEUとユーロという言葉が頻繁に出現し、2016年にはイギリスで国民投票が実施された結果、イギリスはEUから離脱しています。
EUとユーロ
このEUとユーロの違いについて意外と理解していない人も多くいますので、まずはEUとユーロの違いについてお伝えしようと思います。
EUの目標は、加盟国の国家主権の一部をEUに渡し、加盟国の政治的・経済的統合を進めていくことにあります。その中の通貨部分の統合がユーロというわけです。
そのためこの2つは強い関連がありますが、同一ではないので注意しておく必要があります。そして、当然ですが、EU加盟国の27か国とユーロ採用国数(19か国)で違いが発生します。イギリスは、過去EUに加盟していましたが、ユーロは採用しておらず、私たちはポンド/円やポンド/米ドルなどの取引を行うことができます。
仮に、イタリアがユーロを採用していなかったとしたら、私たちはイタリアリラ/円の取引を代わりに取引していたでしょう。
ユーロ加盟国のGDP比較
GDP(国内総生産の)加盟国の比較しますと、以下の通りです(World Economic and Financial Surveysの公開データを基に作成)。
- ドイツ 27.9%
- フランス 19.2%
- イタリア 15.4%
- スペイン 12.1%
- オランダ 6.3%
- ベルギー 3.6%
- オーストリア 3.0%
- アイルランド 2.6%
- ポルトガル 2.2%
- ギリシャ 2.0%
- フィンランド 1.7%
- スロバキア 1.2%
- リトアニア 0.6%
- スロベニア 0.5%
- ルクセンブルク 0.4%
- ラトビア 0.4%
- エストニア 0.3%
- キプロス 0.2%
- マルタ 0.1%
各国がユーロ圏に属するということは、金融政策の権限を欧州中央銀行(ECB)に渡すということです。
これは、自国の都合で政策金利を引き上げたり引き下げたりすることができなということですし、通貨供給量の調節もできません。そのため、ユーロにおける経済指標の発表などは意外と複雑ではなくシンプルに捉えることができます。
理由はGDP比率見ていくとドイツが他国を圧倒し、経済指標におけるドイツの影響度が大きくなるためです。
つまり、極端な表現をするなら、「ドイツが好景気ならユーロ圏も好景気、逆に、ドイツが不景気ならユーロ圏も不景気」と判定することができ、FXにおけるチャート分析も考えがシンプルになります。
2010年代前半のユーロ危機
また、EU圏での出来事が大きく関係しているのであれば、経済指標に注視しなくとも大きな要因が発生すれば一気に相場状況が異なるので注意していく必要があります。例えば、ギリシャを始めとした財政危機は過去のものになったような印象さえありますが、実はまだ終わっていません。
2008年のリーマンショック後、米国だけでなく世界中が不景気になりましたが、ユーロ加盟国に課せられた財政基準を守れない国も発生しています。
具体的には、ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペインです。各国の頭文字をつなげてPIIGSなどと呼ばれたりしています。
なかでもギリシャに至っては事態が深刻で知っている人も多いと思います。ユーロに加盟する際に、国の財政状況を報告して審査を受けるのですが、粉飾決算をしていたことが明らかになっています。
すなわち、加盟条件を満たしていないのにユーロに加盟したことになり、2010年代の強烈な不景気も加わって、どうしようもないという状態。
結局、ギリシャは強烈な緊縮財政を採用して、ユーロ圏にとどまりましたが、財政問題が完全に解決したわけではありません。
この状況ですから、当時のPIIGS諸国は大ピンチ。金融緩和を劇的に進めたいところです。しかし、ドイツにとっては金融緩和が行き過ぎて困る、という事態が発生しています。
ユーロ圏における、両国のGDP比率を再掲します。
- ドイツ:27.9%
- ギリシャ:2.0%
GDPの重要度にこれだけの差があると、ドイツを重視して金融政策を策定せざるを得ません。欧州中央銀行(ECB)は、難しいかじ取りを強いられていたはずです。
ユーロ圏の経済指標とトレードにおける注意点
ユーロを含む通貨ペアは例えば、ユーロ/円のデイトレードを軸に考えると、厄介なのは経済指標発表になります、
重要な経済指標発表後、為替レートは瞬時に動く傾向がありますが、スプレッドも開く傾向がありますので厄介に思うトレーダーも少なくありません。これはユーロ加盟国が19か国もあると、経済指標は全部で20か国・機関になりますのでしょうがないのかもしれませんが、全ての国の経済状況が大きく影響を与えるわけではないので、経済指標の発表が重要でも全てをチェックする必要はありません。
そのため、ECBの政策金利発表やユーロ圏全体の消費者物価指数などに着目しておくようにしましょう。また、特定の国に市場関係者の注目が集まっている場合は、その指標も重視します。
チェックする経済指標をこのように限定的にすると、デイトレードの取引がやりやすくなるはずです。
ユーロ圏周辺国の通貨と円
ユーロは初心者にも多く利用されるが分析が複雑になる場合も
ユーロと言う通貨は、ドルと比較されるほど初心者にオススメの通貨の1つです。全ての国の経済状況が影響を与えるわけではないので、加盟国や機関の多さに左右されることはありません。
ただ、ギリシャの問題やイギリスのEU離脱など、1つの事柄が長期に渡って影響を与えることもあるので、重要な経済指標だけではなく国の経済状況も軽く知っておくようにしましょう。
FXの取引では、最も取引されることが多い通貨の1つですが、それだけ情報も入手しやすくなっています。ぜひ取引における事前準備(情報収集)を怠らないように心がけてください。
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