イギリスの文化とお国柄から見る経済事情
あなたはイギリスといえば、どういった国というイメージがありますか?
FXでは通貨間での差額で利益を得る投資ですが、単純に情報収集として経済指標などを見ていくだけではなく、経済の流れや仕組み、文化も知っておくことは有利に働くことがあります。
今回の記事では、普段あまり気にしないことも多い『イギリスという国の経済事情や文化』について眺めてみたいと思います。
そして、イギリスが圧倒的にシェアを獲得している『外国為替取引』について考察していきますので参考にしてみましょう。
イギリスという国
イギリスはヨーロッパの北西に浮かぶ島国です。
下記の画像では面積が大きな国に見えますが、24万平方キロメートルで、イギリスは日本の3分の2くらいの面積になります。
世界を見渡してみると日本は土地面積が大きくありませんが、観光地や地名として高いイギリスも知ってみるとそこまで大きくないことが分かります。
世界的にみても豊富な資源がたくさん
日本よりも国土面積が狭いイギリスですが、実は資源は比較的豊富になっています。
最も有名なのは、イギリス北部の海域に広がる北海油田。近年は生産量が減少していますが、今なお多くの原油生産をしています。
また、2015年にはロンドン郊外で大規模な油田が発見され話題になりました。
そこには、北海油田で過去40年間に採掘した量の2倍の埋蔵量があると言われており、とても規模が大きいうえ、ロンドン郊外という発見場所というのも驚きです。
実際に採掘できる量がどれだけあるかにもよりますが、北海油田の生産量減少を補えることを考えると、日本と違って資源が豊富なぶん、豊かな国だともいえます。
海外領土とイギリス連邦
イギリスは世界中に領土を持っていた歴史があります。
その歴史は今も受け継がれており、世界中にイギリスの領土があることを知っている人は意外と多くありません。
下の地図は簡略的なものになりますが、赤い点の場所にイギリスの海外領土になります。
有名なところではスペイン最南端のジブラルタル、アルゼンチン沖のフォークランド諸島があり、世界幅広く点在しているのが分かります。
また、イギリスは、海外領土だった地域を中心に、緩やかな連合体を作っています。これをイギリス連邦(コモンウェルス、 The Commonwealth)と呼びます。
主従の関係があるわけではなく、軍事的な義務があるわけでもない、国家の緩やかな集まりです。
旧植民地の全てが加盟しているわけではないですが、現在でもイギリスが大きな影響力を持っていることが想像できます。
下の地図で青い部分が、イギリス連邦加盟国です(The Commonwealthホームページから引用)。
イギリスの植民地だった地域が、数多く加盟しています。
ただ、よく見ると、アメリカ合衆国やエジプトなどが加盟していません。
もう一点、イギリスの特徴を挙げたいのですが、歴史があるだけにとてもたくさんあります。そこで、イギリスの文化、アフタヌーンティーです。
スコーンなどが3段に盛られているのが特徴的で、漫画やドラマなどでも見たことがあるという人は多いのではないでしょうか。
毎日忙しく働いたり勉強したりする方が大半かと思いますが、のんびりとアフタヌーンティーをいただくのもいいかもしれません。
EUからの離脱
近年におけるイギリスの大きなトピックと言えば、EUからの離脱でしょう。
イギリスは、EUに加盟することにより、政治的・経済的なメリットを享受してきました。それは、他の加盟国にとっても同様でしょう。
しかし同時に、様々な制約を受けることにもなります。
ヨーロッパの政治的・経済的な統合を図るのがEUの目的ですから、いったん加盟すれば、様々な制約を受けるのは仕方ありません。
その制約に我慢できなかった、ということでしょう。イギリスは、2016年6月に国民投票を実施し、EUからの離脱を決めました。
投票結果は、以下の通りです。僅差でしたが、結果は大きな差です(データ引用元:BBC)。
国民投票結果
- 残留:48.1%(16,141,241票)
- 離脱:51.9%(17,410,742票)
- 差 :1,269,501票
その後の交渉を経て、2020年1月、正式に離脱しました。これが為替レートにどのように反映されたのか、確認してみましょう。
EU離脱後のポンド/円
下は、ポンド/円の月足チャートです(FXプライムbyGMOから引用)。左側の矢印は、国民投票があった2016年6月です。そして、右側が、離脱した月です。
左側の矢印部分で、大きな黒い線が見えます。すなわち、円高になったことを示します。月足ですから、1か月間の値動きです。
しかし、この値動きは、EU離脱という結果が出た直後くらいに作られました。わずかな時間で30円(3,000銭)近くも円高になりましたので、市場は、大いに驚いたことが分かります。
実際、投票実施前は「結局は残留という結果でしょう」という雰囲気が支配的でした。逆の結果になったので、それがチャートに反映されています。
その一方で、右側の矢印部分では、大きな値動きがありません。離脱するという結果は既に分かっているためでしょう。
連合王国を維持できるか
ちなみに、イギリスは4つの王国の連合体です。スコットランドや北アイルランドでは、イギリスから分離しようという動きが時々見られます。
スコットランドでは、イギリスからの離脱を問う住民投票が実施されたこともあります。
EU離脱を問う国民投票では、4つの連合王国で投票結果に大きな差が出ました。下の通りです。黄色は、残留派が勝った地域です。青は、離脱派が勝った地域です。
イギリス北部が、黄色に染まっています。ここは、スコットランドです。そして、北アイルランド(小さい方の島の北部)も、残留派が勝っています。
ところが、1人1票なので、人口差がそのまま投票結果につながります。下の通り、イングランドの人口が圧倒的です。
すなわち、イングランド以外の民意は、反映されづらいと分かります。
投票数の割合
- イングランド:28,455,402票(84.8%)
- スコットランド:2,679,513票(8.0%)
- ウェールズ:1,626,919票(4.8%)
- 北アイルランド:790,149票(2.4%)
スコットランドや北アイルランドから見れば、全く面白くない話です。自分が何を主張しても、イングランドの人口に太刀打ちできません。
イギリスからの離脱がくすぶり続けるスコットランドが、今後どのように動くか、注目できそうです。
イギリスは世界金融の中心地
最後に、イギリスでFXと関連の深い内容をご紹介しましょう。
今の世界で、経済の中心地はどこでしょうか。アメリカと答える人が多いのではないかと思います。では、金融の中心地はどこでしょう?
これはもう、圧倒的にイギリスです。さらに言えば、ロンドンです。どれだけ圧倒的なのか、データで確認しましょう。
外国為替取引は上場株式の取引と異なり、集中市場がありません。
このため、どれほどの量の通貨ペアがどの地域で取引されているのか、把握するのは難しいのですが、国際決済銀行(BIS)が3年ごとに調査結果を公表しています。
国・地域別の外国為替取引シェア
そこで、この報告書を使って、外国為替取引量の状況を確認しましょう。最新版は2019年です。国・地域別の外国為替取引シェア(2019年)を数字の高い順に並べますと、以下の通りになります。
- イギリス:43.1%
- 米国:16.5%
- シンガポール:7.6%
- 香港:7.6%
- 日本:4.5%
- その他:20.6%
数字ではイメージしづらいですから、円グラフにしましょう。
イギリスが、圧倒的にシェアを獲得していると分かります。2位の米国の2倍以上です。また、2位から5位までを合計した数字よりも大きいです。
そして、上位5つの国・地域で、世界全体の75%以上のシェアを占めています。
外国為替の世界は、地域的な寡占状態であることが分かります。なお、3位から5位までをアジアの国・地域が占めていることも興味深いです。
3つの国・地域はそれぞれ同じくらいのシェアを獲得している…と書きたいところですが、日本のシェア低下が続いています。
イギリスの通貨ポンドは、基軸通貨の地位を失って久しいです。しかし、イギリスは金融の世界で、今なお世界の中心として輝き続けているといえましょう。
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