お金の価値は常に変動中?為替レートが動く7つの要因
異なる2つの通貨を交換するFXでは、為替市場の値動きを予測することが求められます。その際に通貨間交換の交換比率を為替レートという言い方で表現します。
ただ、FXをやるために通貨ペアを選んで為替レートの動きを見てみると、固定ではなく常に色々な数値が変化して常に価格が変動しているのが分かると思います。
これはその通貨を発行している経済状況によって常に価値が変わり、例えば日本の円と米国のドルでは、どちらの価値が高く低いか?という相対的な価格が為替レートで刻一刻と刻まれていきます。しかし、FXをやっている投資家だけではなく、海外旅行に行く際にトラベラーズチェックを発行してもらうときのレートと現金に交換する時のレートには違いがあるのをご存知でしょうか。
また、銀行が顧客と取引する対顧客市場と銀行間取引で行なわれるインターバンク市場でも為替レートは異なります。
今回の記事では、なぜこのように為替レートが異なり、変化を続けるのか?為替レートが動く要因について解説していきたいと思います。
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お金の価値も「需要」と「供給」の関係で価値が変わる
為替相場では、基本的に2国間の力関係によって変化し、経済力が高い国の通貨が買われて高くなります。そのため、相対的に経済力が弱い国の通貨は売られて安くなりますので、例えば米ドルと日本円という2つの異なった通貨を比較し、米ドルの方が多く欲しいという人が日本円よりも多ければ、米ドルの価値が上昇します。
これはモノの価格を決める需要と供給と同じであり、お金の価値についても欲しがる人が多い方が価値が高くなります。為替市場に関わらず、株式市場や債券市場でも同じような要因で価格が変動します。
ただ、単純に欲しい人が増えたからという理由で大きく変動を予測することはできません。この需要関係に影響を与える要因があるからこそ、その為替レートの変動は時々大きい高騰や急落を見せる場合もあり、それは景気や金利、国際収支といった経済的な要因です。
このような要因のことをファンダメンタルズという言い方をしますが、FXではそのような経済事情を考慮して値動きを分析することをファンダメンタルズ分析と呼びます。
このファンダメンタルズによって為替相場の動向が変わっていきますが、次は為替レートの影響を与える要因を6つ解説していきたいと思います。
為替レート変動の要因①「景気動向の影響」
景気の良い国の通貨は株価や金利が上昇する可能性が高いため、期待感から買われる傾向が多くなっています。しかし、逆に経済状況が悪い国からは資本や資産が頭皮するため売られやすくなっています。
日本の場合には少子高齢化ということもあり、あまり人気の通貨ではありませんが、それでも先進国ということで破綻リスクがないため日本円へ投資する海外投資家もいます。
景気動向については、経済指標と呼ばれるその国の経済状況を表す指標があり、その発表によって為替相場を動かす材料となっています。米国の雇用統計などは非常に米国の経済状況を表すとして有名で、発表後には急激な変動を見せることが多くなっています。
また、GDP(国内総生産)など他にも重要指標はあるので、相場の影響からFXでの取引で不利にならないためにも、取引前に確認する癖をつけておきましょう。
為替レート変動の要因②「金利・物価の影響」
お金は低金利通貨の国から高金利通貨の国へ流れるといった傾向があります。これは大きな金利で利息が多く発生するためです。日本では現在超低金利ということもあり、海外から投資対象としては薄くなっていますが、日本人は低金利でも銀行預金だけで資産を保有しているという人は多くいます。
金利については、その国の景気や物価と密接に関係しており、例えば物価上昇でインフレの傾向が発生すると、中央銀行は政策金利を引き上げて景気を調整しようとします。日本の場合には日銀になりますが、米国の金融政策を決定するFOMC(連邦公開市場委員会)の生命と議事録は注目を集めています。
ただし、注意しなければいけないこととして、金利は高ければ良いというわけではないということです。
これはどういう事かというと、金利が高いということは政治や経済が不安定だからです。銀行が個人や法人にお金を貸す際には、信頼できる相手であれば貸付金利を低くします。これは元本を確実に返済してくれる可能性が非常に高いためです。
しかし、逆に不安がある貸付先であれば、返済できないリスクを考えて貸付金利を高くします。これと同じことが国レベルの金利で発生しており、FXでもスワップポイントが発生する通貨ペアの取引では突発的な値動きや全く変動がないなど、マイナーな新興国を中心に多くなっています。
そのため、スワップポイントが高いということは、「景気が良いから金利が高い」あるいは「国が不安定で信用されていないから金利が高い」のどちらかだということになります。ただ、それでも日本より金利が高く経済的に安定した国は多いので、ぜひ確認してみましょう。
国が不安定で金利が高いという場合には、長期的に為替チャートに特徴が出るので、その国の通貨は弱くなる一方になります(円高)。
下は、トルコリラ/円の長期チャートですが、ひたすら円高になっている様子が分かります。
参照元:FXプライムbyGMO
トルコリラ/円は高金利通貨ペアの代表格ですが、この円高状況を考慮に考えると、「好景気だから高金利」なのではなく「信頼度が劣るから高金利」だと分かります。
為替レート変動の要因③「国際収支による影響」
国際収支やサービス収支からなる経常収支、資本収支によって発生する実需は為替変動に大きな影響を及ぼします。日本の場合だと、経常収支が黒字であれば受け取った外貨を自国通貨に換える必要が発生するので、円高傾向になります。
同様に資本収支において、資本流入が多い流入超の状態であれば自国通貨が買われることになります。
為替レート変動の要因④「為替介入による影響」
金融当局は、為替レートで急激な変動が発生した際には、抑制するために過度な通貨高・通貨安を是正するために為替介入を行う場合があります。
日本では日銀が財務相の指示で市場に介入しますが、その額は数兆円と大規模です。
相場を動かす要因としては大きく、巻き込まれてしまうと一気に損失が発生する場合もあるので注意したい変動要因です。また、数カ国がれんけいして行う協調介入の場合には、為替相場の流れを大きく変えることもしばしばあります。
下記は日銀が2010年~2011年あたりで巨大な介入した際のグラフです。
2010年後半から市場介入が始まり、最も多い月には、1か月で10兆円に到達しようかという勢いだったことが分かりますが、この介入によって、米ドル/円の円高は止まりました。そして、2012年以降に大きく円安に転換しています。
為替レート変動の要因⑤「テクニカル的要因」
FXをしている投資家であれば、為替市場に対して値動きの予測を行っているはずです。
これはチャートを見ながら取引をしていることが前提の人が多く、多くの投資家が同じチャートを見ることによって市場参加者の思惑や集団心理などを推測して取引が行われます。そのため、為替市場ではサポートライン(支持線)やレジスタンスライン(抵抗線)が多くの市場参加者に注目され、実際に買いや売りが発生します。
そのため投資家に意識される価格帯では、大きく変動を及ぼすことが多く、ラインを突破すると短期的に相場状況が一変したり、トレンドを加速させたりすることになります。
また、ラインドバーやキリ番とも呼ばれる100.00円や120.00円などの切りの良い数字付近では、大量の注文が交錯することも多く為替が大きく変動することもあります。
為替レート変動の要因⑥「投機的要因による影響」
膨大な資金を投入して短期的に利ざやを稼ぐ取引を繰り返すのがヘッジファンドや機関投資家などの投機筋です。
投資信託の運用などもしている彼らは、扱っている資金が個人とは比べ物にならないほど大きく、外国為替市場における取引割合が大きいことから、短期的な為替相場は投機筋の影響を大きく受けるといわれています。
当サイトで過去に紹介したエリオット波動論の基本でも、チャートパターンによっては彼が取引している相場が分かります。値動きから投機的な要因で負けることをなくしたい場合にはチェックしてみましょう。
為替レート変動の要因⑦「地政学リスクによる影響」
紛争やテロといった政情不安が起きれば、その地域にある企業や住民に多大な影響が発生します。その結果、投資活動や消費にも波紋が起き、悪影響が懸念されることからその国の通貨は売られる傾向があります。
以前は有事の際のドル買いと呼ばれることがあったように、基軸通貨であるドルが買われることが多くありましたが、最近では永世中立国のスイスやスイスフランが資産の避難先として買われるケースも増えています。為替レートの急激な変動は、そのままリスクにも繋がるのでリスク洋運についても知っておくように注意しましょう。
FX投資家が一番に考える為替レート変動によるリスク
為替レートで変動する要因をお伝えしましたが、私達投資家が考えるべきは為替レートの変動が直接利益に直結するテクニカル分析です。
変動の要因は事前に情報収集することで、未然に大規模な変動で取引をする可能性を抑えることができます。
ただ、何の変動要因がなくてもチャートは大きな変動を見せる場合があり、個人投資家はその波に上手く乗ることで利益を出すことができます。そのため、為替レートが上昇すれば「買い」下降すれば「売り」といった相場の局面を見ていくことでFXでは利益を狙えます。
当サイトでは、色々なテクニカル分析の基本やチャート分析に役立つインジケーターを紹介しているので、ぜひ参考にしてテクニカル分析から変動を予測できるようになりましょう。
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